太田光・中沢新一「憲法九条を世界遺産に」

爆笑問題太田光と宗教学者中沢新一による対談を中心に構成されている。対談はどうしても内容が散漫になったり、脱線したりしてしまうものだが、憲法九条という明確なテーマを定めている本書もその例外ではない。太田光がボケるのはそれが役回りだからいいのだけど、中沢新一(実はこの人のことはよく知らないのだが、大学生の頃に中沢新一の兄を名乗る人に会ったことがある)もボケに回って、ダブルボケで話が締まらない。中沢が太田に歩み寄って話をしようとしているのだが、それがすべっている感じがした。大事なことを話しているようで、実はあまり価値がないような本、と言うべきかもしれない。

憲法九条を崇拝の対象にするのはどうにも理解できない。単なる法律ではないかと思う。日本という国は島国で攻めるに難く守るに易い、外国との交戦経験も少ない、さらに人の命の価値というのは過去に比べるとあがってきている(多産多死から少産少死)上に、戦争をして得るものというのは過去に比べると相対的に少なくなり、むしろ失うもののほうが多くなってきている、という現状から戦争はしない、どうせしないのであれば法律に「戦争は放棄します」と書いておいたほうがいいよね、くらいに私なんかは考えているのだが。

憲法九条を世界遺産に (集英社新書)

憲法九条を世界遺産に (集英社新書)