寺谷ひろみ「暗殺国家ロシア―リトヴィネンコ毒殺とプーチンの野望」

イギリスで起こったリトヴィネンコ毒殺事件(検索すると「リトビネンコ」という表記のほうが一般的のようだがここは本書の表記に従う)とロシアの現状についてまとめられた本。リトヴィネンコ毒殺事件のくだりはまだついていけたのだが、ロシアの現状(オリガルヒとかチェチェンとかユーコスとかの記述が出てくる)になると、私がカタカナの名前を覚えるのが苦手で世界史が得意でなかったということもあってか、正直言ってついていけなかった。ロシアって怖いね、という感想を持ったくらい。

しかし、「本書は、事実にもとづく全くのノンフィクションであり、全部、実名である」と最初に書いてあるのはいいとしても、かなり踏み込んだ内容が書かれている本文に続いて、あとがきに書いてある「主にインターネットの情報から事実だけを拾って、構成した。」は、これはロシア流のジョークなのかと思ってしまった。これほどの内容をインターネットから事実だけを拾うって、よほどの眼力なり判断基準なりを持っているのか、それとも無自覚なのか。それでも、ロシアという国が抱える闇の大きさは否定できないことだと思う。

余談だが、寺谷ひろみという著者名からして女性かと思ったら、寺谷弘壬という男性の著者だった。