三浦展「下流社会 新たな階層集団の出現」

「はじめに」の最初に「下流度」チェックなるものがあって、その1番目の項目が「年収が年齢の10倍未満だ」とある。この言い回しからしてだめな感じがするが、読み進めていっても、その最初の印象が覆ることがなかった。著者自らあとがきで「統計学的有意性に乏しい」と評しているデータを使った説明が延々と続いていく。基本的に数字の解説は退屈であり、それに興味を持たせるような工夫もなく、その数字が「統計学的有意性に乏しい」では、まじめに読む気がしなくなる。さらに、自分の著書への参照が多いのも興ざめだった。中には読んでいて納得がいく記載もあるのだが、全体的には低い評価をつけざるを得ない。

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)

下流社会 新たな階層集団の出現 (光文社新書)