東日本大震災に伴う電力不足対策としてのサマータイム

東日本大震災の影響で夏場で電力が不足することは必至である。そのためサマータイムを導入すべきという意見が出ている。

ただ、サマータイムを導入すると言う意見を出している人も、サマータイムについて正確に理解しているか甚だ疑問である。政治家もそうだが、マスメディアもそんな感じだ。たとえば、毎日新聞ではサマータイム制は論外という坂村健東京大学教授の意見を載せている。坂村教授はサマータイムについて理解している。しかし、社説ではサマータイムの導入に賛成するような意見を載せている。この社説はサマータイムの電力不足対策に対する効果はぼかしながら「なんとなく変えてみたらよさそう」という印象論で終わっている感がある。1時間では意味がないから2時間ずらせとも言っている。

欧米等で導入されているサマータイムだと、Wikipediaの夏時間の項に書いてあるとおり、サマータイムの切り替え時に「1時59分59秒の次が3時00分00秒」「1時59分59秒の次が1時00分00秒」というようなことが起きる。このことがコンピュータシステムに悪影響を及ぼす可能性がある。仮に悪影響がないとしても本当に悪影響がないかという検証を行う必要がある。これが坂村教授の言う「なにより時計をいじるというのは意図的に「コンピューター2000年問題」を引き起こすようなもの。」にあたる。はっきり言って、今年の夏に間に合うわけがない。もちろん、震災に限らずサマータイムを導入しようとなると、この部分が大幅なコストになることは確実である。

企業が独自に導入しようとしている「サマータイム」は北海道で試験的に導入された「北海道サマータイム」のようなものである。これであれば、コンピュータシステムには影響を与えない。ただ、サマータイム導入賛成論者が、欧米等で導入されているサマータイムと、北海道サマータイムの違いを意識できているのかというところに疑問がある。

ちなみに、時間を2時間ずらすというのは、ダブルサマータイムと言ってイギリスでは導入が検討されているが、まだ導入には至っていないとのこと。