読書一覧

山下ルミコ「東武東上線 ぶらり途中下車」

東武東上線、越生線の全駅の周辺スポットやトピックスがまとめられた本。地味な駅でも神社仏閣くらいは周辺にあるので、そういうのが載っている。ちなみに志木は4つのスポットが載っているが、すべて志木市のスポットであった。古い時刻表も載っていて、昭和17年では池袋から志木まで27分と今とあまり変わらなかったりする。ただし、運転本数は30分に1本なので、今よりもだいぶ少ない。


市川宏雄「山手線に新駅ができる本当の理由」

品川~田町間にできる山手線新駅について書かれた本。同地の近くまで通勤しているので読んでみることにした。2012年に書かれた本なので、まだ上野東京ラインが開業していないなど、古くなっている部分もあるが、新駅についての基礎知識が書かれているので、それについて識ることができるのはいい。ただ、この新駅だけで本を一冊作るとなるとどうしても蛇足な部分が出てくるなとは思った。本書の中で、品川駅港南口や汐留の開発を成功しているとはいえない、と断じていることは評価できる。汐留はあまり行ったことはないが日本テレビという核があるだけましかなと思う。品川駅港南口はよく行っているが、はっきり言って街づくりに失敗していると思っている。どうも港区の旧芝区域の新しい街はどこも魅力に欠けているように感じる。本書では山手線新駅周辺の街づくりはそんなことがないようにという期待をしているが、個人的にはその二の舞、三の舞になる可能性もあると危惧している。


神山健吉「埼玉の地名―新座・志木・朝霞・和光編」

新座市、志木市、朝霞市、和光市の細かい地名の由来を記したという、かなりニッチな本である。そういう本でもAmazonで取り扱いがあるというのが驚きである。新座市でも昔の小字レベルだと私の知らない地名が載っていた。XXn丁目に上書かれて消えてしまった地名があるということを改めて認識した。またこのあたりは新羅の影響が大きく、新座、白子、新倉などは皆新羅が由来の地名となっているということである。地名の由来を通じて地域の歴史を学ぶこともできる。


田代博「「富士見」の謎」

富士山はどこから見えるか、ということをカシミールのデータなどを使いながらまとめた本。新書でそれに特化した本が作られるというのも驚きだが、それだけ富士山というもののステータスが高いということか。日本のどこから富士山が見られるかということを記した地図が載っている。富士山を見ることをとことん追及する、という観点がまるでなかったが、そういう世界もあるのだと識ることができた。


加藤佳一「バスで旅を創る!―路線・車両・絶景ポイントを徹底ガイド」

乗ることで旅気分が味わえるバス路線を紹介した本、と言えばいいか。「一日乗車券でレトロなバスを味わい尽くす」と言いつつ一日乗車券がない路線を紹介していたり、「バスは電車より速い」と言いつつ電車より遅いバス路線を紹介していたりと、全体的に「ゆるい」という印象。他にも路線バスになじみがない人にはわかりにくいだろうという表現があったり、三重の御座に行くのに、船に乗るのは”旅”ではなく許されない、バスに乗るのが”旅”なのだ、と謎なまでにバスに肩入れしていたり、どうも雑な感じがする。御座にはバスで行って、船で帰ってきたことがあるが、私の主観だと船のほうが”旅”らしさを味わえると思う。

余談だが、私が先日行った西表島のバスが掲載されている。当時は大原港が最南端のバス停だったようだ。


半藤一利+保阪正康「昭和の名将と愚将」

昭和時代の軍人を、「名将」と「愚将」に分けて論じている。対談形式でわりと読みやすいという面はある。名将編は雑誌の掲載をまとめたもので、愚将編は語り下しとのこと。

結局、名将は自分の持ち場では功を上げたもののそれが全体の成果にならず、愚将の所行も相まって、あういう結果になってしまったわけだが、その結果へのキーパーソンとして、本書に直接は取り上げられていないものの、東條英機の名前が何度か出てくる。

あと、興味深かったのは、特攻や玉砕というのは本来日本の文化にはない考え方であって、それを進めていったのはそのときに日本人は変調をきたしていた、というような件。特攻や玉砕に限らず、本来日本の文化ではないものや、それほど伝統がないものを持ち出してきて、「日本人ならこれをすべきだ」とするケースはままある。自分たちが推し進めたい考えをナショナリズムを利用して広めるのは俯瞰的にみて望ましくないとは言えるが、当事者になると、その渦に呑み込まれてしまうことも否定できない。

先の戦争に関して多方向からの研究はされるべきだし、このような本が出ることはけっこうなことだと思う。記憶が生々しいという面はあるのだろうが、これについてはだいぶ月日が経ってきている。あとどうしても右とか左とか政治思想面云々が絡み出すというのもあって、そういう面も関係することは否定しないが、そのことが主となることについては不幸なことだ。

昭和の名将と愚将 (文春新書 618)

昭和の名将と愚将 (文春新書 618)


浅羽通明「右翼と左翼」

右翼とか左翼とか言われているけど、実際のところ右翼、左翼って何?というあたりが書かれている。話し言葉で書かれているのが個人的には向かない感じがしたが、内容自体は興味深いものだった。西欧での起源については「議会の右側、左側」レベルのことしか知らなかったのでためになった。戦前において右翼と左翼が共闘関係になったこともあったのは別の本で知っていたが、そのことについて「ワークシェアリング」という言葉を使っているのはおもしろかった。

結局、現在の一般人が称している「右」「左」は、自己のあり方を形づけるためのものに過ぎないのではないかと再実感した。昔に比べて今は何らかへの所属意識が希薄になっているわけだが、その代わりに帰属すべき所属にそういう思想が使われているだけではないか、と。人が完全に無所属になるのは難しいのかもしれない。

右翼と左翼 (幻冬舎新書)

右翼と左翼 (幻冬舎新書)


奥野修司「沖縄幻想」

今回、沖縄に行くにあたって事前に読んでみた。若干話が脱線したり、交通に対する見解については違和感を感じる部分もあったが、あまり報じられない沖縄の問題について、筆者ならではの視線で多々書かれており、参考になった。補助金漬けの実態についても書かれており、今までの沖縄振興策のあり方の問題にも言及している。米軍基地移設問題も連日報道されているが、それらも含め沖縄にまつわる問題はなかなか複雑で根深いものがあると感じた。

沖縄幻想 (新書y 219)

沖縄幻想 (新書y 219)


梅田望夫「ウェブ進化論-本当の大変化はこれから始まる」

有名な本ですね。2006年に出された本であり、その後に出てきたYoutubeやTwitterなどの新しいサービスについての記述はもちろんないが、GoogleやAmazonなどの記述は現在読んでも意味がある内容になっている。今後のウェブの進化の方向性として「ネットのあちら側」「不特定多数無限大への信頼性有り」のボックスが牽引していくと記されているが、これがまさにYoutubeなりTwitterではないかと感じた。ウェブの世界を全く知らない人が読むのは難しい内容ではあるが、ウェブの世界の潮流について知りたいのであれば、今読んでも損はないと思う。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる (ちくま新書)


古川愛哲「九代将軍は女だった! 平成になって覆された江戸の歴史」

九代将軍徳川家重は女性だったという説について書かれているが、それは第一章に記されているのみで、第二章は徳川家康について、第三章から第五章には江戸時代の事柄についての小話が雑多に並べて書かれている。書名の内容は本書全体の30%くらいか。正直な感想として、あまり労力がかかっていなさそうな本だった。