読書一覧

早坂隆「日本の戦時下ジョーク集 満州事変・日中戦争篇」

戦時下のジョーク集という面白い切り口の本だと思い読んでみたが、ジョーク集シリーズの一つということらしい。ジョークとか漫才のかけあいが書いてあるのだが、文章にしているからか、全然笑えなかった。資料としての価値はある本だとは思う。

日本の戦時下ジョーク集 満州事変・日中戦争篇 (中公新書ラクレ)

日本の戦時下ジョーク集 満州事変・日中戦争篇 (中公新書ラクレ)


岡崎昂裕「自己破産の現場」

債権回収に携わっていた著者が現場での経験などを元に記した著書。ある種の距離を持ったような淡々とした描写が続いていく感じがするが、業界や社会への直接的な批判も散りばめられている。ちょっと自己弁護がましさも感じた。

自己破産の現場 (角川oneテーマ21)

自己破産の現場 (角川oneテーマ21)


谷口克広「信長軍の司令官―部将たちの出世競争」

織田信長家臣団について書かれた書。信長が天下統一に近づく原動力になった配下の武将の役割を時系列で、信用に足る史料から真実に近いと思われる内容をまとめている。

塙直政がここまで大きな役割を持っていたとは初めて知った。逆に丹羽長秀は一国を任せられる程度の武将であると書かれている。確かに、丹羽長秀が100万石を超える所領を得たのは秀吉の時代になってからだ。信長に評価された武将、評価されなかった武将の浮沈がよくわかった。

信長軍の司令官―部将たちの出世競争 (中公新書)

信長軍の司令官―部将たちの出世競争 (中公新書)


マキアヴェリ「君主論」

さすがに2週間読んで完全に理解できるような書物ではないが、読まないことには始まらないのでまず読んでみた。およそ500年前に書かれたものではあるが、現在でも通じることが数多く書かれている。普遍的なことが書かれているからこそ、現在でも読まれているのだと思う。

この書全体に自己と他者との関係についての事例がちりばめられているが、直言すぎて、「マキャヴェリズム」というレッテルを貼ったり、忌避する人がいるのもわかる気がする。

個人的に感銘を受けた一文は「こういうわけで、勝ちたくないと思う人は、せいぜい外国の支援軍を利用するといい。」

君主論 (中公クラシックス)

君主論 (中公クラシックス)


野口悦男「とっておきの温泉 危ない温泉」

前半は温泉の問題点を記していて、後半は厳選した百の温泉を紹介している。一人称が「俺」というのが珍しい。若干感情任せなきらいがある。温泉紹介は、著者の住居の関係か、温泉そのものが偏っているのかはわからないが、東日本の温泉が多く、西日本の温泉が少なかった。余談だが、私が住んでいたところの近くにあった温泉が紹介されていた。


山田真哉「さおだけ屋はなぜ潰れないのか? 身近な疑問からはじめる会計学」

誰でも挫折せずに最後まで読めるという狙いどおりに、平易に読み通すことができる。会計学という未知の世界を垣間見るとこができるという意味ではいい本だと思う。ただ、買って愛読書にするという類のものではないとは思った。その道を行くのであればこのレベルはさっさと通過すべきであるし、その道を行かないのであれば二度と手にとることはないからだ。


戸川猪佐武「小説吉田学校〈第1部〉保守本流」

吉田茂を中心にそれをとりまく人々についての動きを描いている。歴史小説とカテゴライズするのが妥当かと思う。端折るところは大幅に端折っている。素材はいいが、難しい素材である。それをうまくまとめていると感じた。ただ、人間関係の描写におもしろみがある分、もう少し全体的なボリュームを増やしてほしいとも思った。

黒須という知らない人物が出てくるが、白州次郎のことらしい。

小説吉田学校〈第1部〉保守本流 (人物文庫)

小説吉田学校〈第1部〉保守本流 (人物文庫)


石川文洋「日本縦断 徒歩の旅―65歳の挑戦」

北海道から沖縄までの徒歩旅行の記録。実際に歩いて旅行をしようと思っている人には参考になるような情報が盛り込まれているが、旅行記としては左派な主張が目立ちすぎているのが気になった。ただ、地方の現状に関する描写については価値を感じた。

日本縦断 徒歩の旅―65歳の挑戦 (岩波新書)

日本縦断 徒歩の旅―65歳の挑戦 (岩波新書)


八幡和郎「江戸三○○藩 最後の藩主」

目の付け所は面白いと思ったのだが、各藩の説明が似たり寄ったりになって、途中で読むのがだれてくる。それ以前に、筆者の視点が主観的な印象を受ける。現在的な視点で語っているもの気になる。冗長な記述も目立ち、筆力のなさを感じた。後で調べたところ、筆者は大津市長選挙に二度落選しているとのこと。

江戸三〇〇藩 最後の藩主 (光文社新書)

江戸三〇〇藩 最後の藩主 (光文社新書)


司馬遼太郎「峠」

読んだのはけっこう前のこと。上巻、中巻の密度に比べると下巻の密度が薄いように感じた。北越戦争がなんかあっけない。Wikipediaには丸谷才一が司馬遼太郎のことを「全体の五分の三あたりのところから雑になる」と評したと書かれているが、まさにそんな感じだ。まあ、つまらないかおもしろいかと聞かれればおもしろい。

峠 (上巻) (新潮文庫)

峠 (上巻) (新潮文庫)