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新座市長選挙は現職候補の大勝という結果に終わった。そういうわけで、新座市長選挙を振り返ってみたい。
須田健治候補について
引退の意向から一転、土壇場で出馬を決めて、保守地盤もだいぶ他候補に流れていたと思うのだが(地元の会社でも他候補のポスターが貼ってあるところが多かった)、底力というべきか、前回よりも2300票近く票を増やし、見事に六選を決めた。二位、三位の田中候補、平松候補が獲得した票を上回る票を得たということで、対抗馬の票が割れたことに助けられた、とは言えないだけの票を得たと思う。ただ、他のどの候補も決め手に欠いたというのは確かで、そういう点に助けられた面はあると思う。
選挙活動は前回よりも出遅れていた。ただ、組織のテコが入ってからの爆発力は大きかったのだろう。
田中幸弘候補について
前回と同じ次点とはいえ、7800票近く票を減らし、前回は当選した候補と200票以下の差だったのに、今回は10000票以上も差を離された。完敗と言ってもいいだろう。かつて同じ会派だった平松候補と票が割れたという面もあるのだろうが、仮に田中候補と平松候補で一本化できたとしても須田候補には及ばなかった。個人的には、前回の市長選からここまで表だった活動をしていなかったので、私は今回の市長選には立候補しないのかと思っていた。本来ではあればいちばん周到な準備をできる立場にあったと思うのだが、そういう様子は見られず、それがこの結果に現れたとも考えられる。
前回は民主党(柴崎、佐原、中村)+語る会(高邑)の市議が支持したが、今回は市民と語る会(高邑、木村、塩田、立川)の市議が支持したようである。ただ、高邑、木村の両市議は積極的に活動していたようだが、塩田、立川市議は目立った活動をしていなかったように見受けられた。立川市議は選挙ウィークの金曜日に反原発デモに行っている。もっとも、私が見えないところで活動していたのかもしれないが。
あと、市長選の多選批判が表立っていて、自己のアピールに欠いていた面もあった。現職と一騎打ちであればそういう戦略もありだが、今回みたいに多くの候補が立候補している場合、そういう戦略は効果が薄いと思う。もっとも、多選批判された現職は前回よりも票を伸ばしている。
平松大佑候補について
私などから簡単に見えやすいインターネットを使った活動という面では、平松候補がいちばん周到にすすめていたと思う。ブログ、Twitter、Facebookの連携、Google AdWordsの利用など、教科書どおりのインターネット活用だ。ただ、教科書どおり過ぎて、こなれたツールとして利用できていないと感じる面もあった。もともとインターネットの世界に明るくないのかもしれない。多選批判よりも政策で勝負という方向性はいいのだが、その政策も選挙公報など見ると、味の薄いコーヒーみたいでいまいちパッとしなかった。(もっとも、どの候補も選挙公報に書かれている内容はいまいちで、決め手に欠く印象を受けた。)あと、選挙ポスターも五候補の中ではいちばんいまいちだったと思う。
嶋野加代候補について
立候補表明はいちばん早く議長経験者とはいえ、前述の三者が市議選でトップ当選の経験がある中で、嶋野候補は市議選ではいつも中位~下位での当選ということで、こういう結果に落ち着いたのだと思う。もともとは、自民党などの組織のバックアップを受けられることになっていたのか、裏側のことはよくわからない。自民党のポスターが貼ってあるところに、嶋野氏のポスターと立て看板があったのが、撤去されて衆院選予定候補の豊田氏のポスターを貼りだした、という遷移を見ると、何かあったのだろうとは感じる。やはり現職の多選批判をしたわけだが、翻って立候補を決めた須田候補への当てつけのようにも感じた。
小鹿伸衛候補について
前回と同じく、市議を引退した人を候補に持ってきた。ただ、個人的には前回の保坂さんはいい候補だったと納得できたが、今回は単に余っている人を持ってきたように感じた。共産党は直に引退しそうな市議が多数いるので、当分はこのモデルを繰り返していくのだろうか。主張の内容も、消費税、反原発とか市政にはおおよそ関係がないような内容が主だったように見えた。現職がすすめる都市高速鉄道12号線の延伸についてまっとうな批判ができる唯一の勢力だと思っていたのだが、そういう主張がなかったのは残念である。単に自分たちの主張がしたいがために市長選に参加したような感じで、共産党の候補として前回の選挙よりも票数が2/3以下になったのも当然のように感じた。
投票率について
36.59%で、前回の34.46%よりは上がった。三連休の中日で下がるのではないかとも思ったが、これは多候補が立候補した正の側面と言うべきか。地域別に見ると、新堀、栄が投票率が低いのだが、それぞれ、駅で言うと清瀬・東久留米、大泉学園・朝霞を使う人が多く、新座市の選挙の情報に触れる機会が少ないことが影響しているのであろう。本ブログのコメントでもそのような情報を頂いた。これは新座市の構造的な問題だと思う。
総括
本選挙の争点は何だったのか、ということを考えると、いちばん目立った争点は結局多選の是非だったように思う。多選批判するにしても、数字や具体的で市民が同意できるような弊害をあげていくのではなく、印象を述べているだけという感があり、上滑りしている印象を受けた。現職が積極的に進めている都市高速鉄道12号線の延伸は争点になり得ると思っていたのだが、他候補はそこを積極的に取り上げずに、あまり争点にならなかったのは残念である。
コメント
いつも歓心して拝見しております。この選挙分析も素晴らしく、的を得た鋭いものであります。益々の御活躍を楽しみにしております。
ありがとうございます。活躍という言葉ほど何かをしているわけではないですが、続く限りは続けていこうかと思います。
おはようございます!選挙ウォッチャーさん同様です!いつもすごいなぁ、なるほど~ととてもありがたく勉強になります。情報もありがたいです。今後も続けてくださるとのこと楽しみにしています。よろしくお願いいたします。