加藤紘一衆議院議員の発言について

加藤紘一衆議院議員が「拉致被害者を返すべきだった」と発言していろいろ議論になっているようだが、加藤氏のホームページでは、発言の一部分だけが報道されてるとして、前後の文脈を知っていただきたいと、長いやりとりを載せている。

要するに、返すという約束で日本に帰ってきたのだから約束は守るべきだ、約束を守らなかったから拉致問題が解決していない、という考えのようだが、北朝鮮という国を考えると、まともな外交テクニックで解決できるはずがない。そもそも、5人の拉致被害者が帰ってきたこと自体、多額の援助があってのことで私は評価していない。私だけでなく、皆さんが好きな(私はあまり好きではないけど)櫻井よし子氏も、今調べて知ったのだけど批判的に意見を残している。北朝鮮はおそらく拉致被害者が日本から帰ってきても帰ってこなくてもどちらでもよかったと考えていたのではないか。どっちに転んでもメリットがあるシナリオを描いていたのだと思う。それは結局、終始北朝鮮主導でこの問題が動いているからに他ならない。すなわち、返すべきだった、返さないべきだったを論じても、解決に結びつくことはないと思うのだが、少なくとも5人の拉致被害者が帰ってきたことは、本人とその家族にとっては喜ばしいことには違いない。それを「返すべきだった」と言ってしまっては、やはり関係者が怒るのも無理はないかなと思う。

ただ、ここぞとばかりに加藤叩きをする人には同調できない。北朝鮮性善説をとるのであれば、「返すべきだった」という発言をすることは理解できる。そこは認識の違いなのだけど、意見の違いを一切認めないというのは危険な考えだ。

あと、選挙民の責任を問う意見もあがっているが、次期衆院選の山形3区は加藤紘一vs社民党の誰かの一騎打ちの可能性が高く、そうなると今回の加藤発言を批判的に思っても選びようがないではないか。そのあたりは選挙区事情を理解してほしいと思った。せめて斎藤淳元衆議院議員がいるときになんとかなればねぇ。選挙に話を向けるのであれば、公認する自民党の責任を問うか、反加藤勢力が誰が立候補するかのどちらかの動きがあるべきだと思うけど。