衆院選の結果と今後の展望-与党編

8月30日に行われた衆院選で政権交代が実現した。民主党を中心として、社会民主党、国民新党、新党日本、新党大地が与党側になったわけだが、新党日本、新党大地は議席1~2の小所帯なので、一般的には民社国の三党が中心となった連立政権とされている。

民主党は議席を倍以上に増やす大勝利。中国、四国以外では小選挙区から立候補した候補は比例復活も含め全員当選した。中国、四国では広島、香川で躍進したが、徳島、愛媛で前回より1議席づつ増やした以外は前回と同じである。その他、福井では3つの小選挙区全てで負けている。一昨年の参院選でも小差で負けている。福井には何かあるのだろうか。

石川3区は中選挙区時代からずっと自民党系以外の候補が議席を獲得したことがなかった選挙区であるが、今回は民主党の候補が議席を獲得した。自民党が強いこの選挙区ではあるが、その内側は一枚岩ではなかったようだ。

同市に根を張る瓦力・前衆院議員=比例北陸信越ブロック、引退=は、北村氏と近い森喜朗元首相と反目していた。「当選が決まった後、瓦さんが『おー、よかった』と言ってくれた」。選挙から一夜明けた31日未明、近藤氏は明かした。「瓦氏は近藤氏を事実上、支持した」と考える関係者は多い。

http://mytown.asahi.com/ishikawa/news.php?k_id=18000550908310001

同市とは七尾市のことである。前回の選挙で自民党は瓦氏から北村氏へ候補者が変わったわけだが、それが伏線になったということだ。

民主党は前から元自民党の人たちが多数いるわけだが、今回の選挙でも、自民党でオーバーフローした人材を、反主流になってしまった人たちを中心にすくいあげた、という感がある。候補者、有力者レベルだけではなく、支持団体にも、自民党に固執する必要性が薄れていく点を、民主党が目ざとく突いたように思う。

国会議員が一気に増えたことによる弊害はあるだろうが、兎にも角にも政権交代が実現できなければ党の存在意義はなかった。あまり贅沢は言わず、まず政権交代を実現できたことを良しとすべきであろう。

その民主党と連立を組む党だが、まず国民新党。議席を減らして、幹部も綿貫民輔代表、亀井久興幹事長が落選。亀井静香新代表が就任した。これで一時期起きた民主党との合併問題が浮上するのではないか。参院比例選出候補の問題があるが、そこさえクリアできれば、合併のハードルは高くない。亀井新代表ももともと民主党との合併には乗り気だったようだし。来年の参院選前あたりが目処になるような気がする。

そうなると、今後難しい舵取りを迫られるのは社民党である。社民党は民主党と合併するという選択肢はまずとれないだろう。民主党中心政権の中で存在感を発揮しつつ、うるさくしすぎて捨てられないようにしつつ、次期参院選に向けて党勢も伸ばさなければいけない。果たしてこれができるだろうか。今まで通りの運営をしていけば沈む可能性が高い。人材も限られているし、小舟で大海に漕ぎ出すイメージだ。議席は現状維持だったが、現職が3人落選したのはマイナスだ。しかも、入れ替わった新人の3人は50~60代の年齢のおっさんである。これが若い人であればもう少し違ったのだが。

そういうわけで、民社国連立政権は1年くらいで終わるのではないか、とは思っている。その先は民主単独政権か、民主と他の党との連立政権か、全く新しい党の政権か、そんなところだろう。