旅先で聞いた名言

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私は全国各地を旅して聞いた、今でも忘れられない名言というのがいくつかある。それを紹介したい。

「Aは英語でワン」

今ではなくなってしまったが、岡山駅には改札の前に大きな待合スペースがあって、そこに座って列車を待っていた。そうしたら、とあるおばあさんに話しかけられた。何を話しかけられたか細かいことは覚えていないが、一つはっきり覚えていることがある。血液型を聞かれて、「A型だ」と答えると、A型はいい、というようなことを言った後で、「Aは英語でワン」と言った。「Aは英語でワン」、おかしくはあるが、言わんとすることはなんとなくわかる。要は、Aがアルファベットで最初の文字ということだろう。とにかく、この言葉のインパクトは強烈だった。その後、そのおばあさんは他の人に話しかけたり、「のーぎーたいしょうのー」(おそらく、乃木希典の歌)とか歌っていた。

「金ならようけある」

橋本から和歌山に行くバスに乗ってきたときの話。あるおじいさんが、和歌山から橋本までバスで行って、そのバスの折返し便に乗って和歌山まで戻る、ということをしていたようだ。そこで、運転士さんが気をきかせて「1日乗車券があって、それを使えば安く乗れる」というようなことを言った。そうしたら、そのおじいさんは「金ならようけある」と返した。運転士さん、まわりのお客さんもそれを聞いたら、それ以上何も言えない。私は後ろの席でその様子を見ていたのだが、その言葉にすがすがしさを感じた。