八ツ場ダムに思うこと

八ツ場ダムの建設是非が取り沙汰されているが、西吾妻出身の私としては、この問題については、単純に反対とか、賛成とか明言できない複雑な思いを抱いている。もともと反対という気持ちではあったが、あれだけ工事が進んでいるわけだし、翻弄された地元民の気持ちを思うと、明快な意見はなかなか出しにくい。

民主党としては政権公約通りであるということなのだろうが、そもそも八ツ場ダムがある群馬5区には民主党は候補を擁立していない。私の記憶によれば、民主党は群馬5区に候補を擁立できずに一時は自民党現職の小淵優子氏の無投票という可能性もあったが、結局社民党が前の選挙で群馬1区から立候補した、前橋に住んでいる候補を擁立した。その他、幸福実現党も候補を擁立している。最初から群馬5区から民主党議員を出すことを放棄しているのである。それだけに好き勝手なことを言えるのではないかとも勘ぐってしまう。

とはいえ、建設中止のメリットがあるのであれば、中止すべきだろう。建設中止によって建設費の拠出がなくなるという意見もあれば、それに伴う補償費が嵩んで結局お金がかかる、という意見もある。立場によって意見が変わっているだけのことなのだろうが、このあたりを客観的な視線で整理して、中止のメリットを明確に打ち出した上で意見を出してほしいところである。

八ツ場ダム建設で恩恵を受けるといわれている自治体の首長は、中止の方針にブーイングであるが、地元の反対と比べると当事者である感覚が感じられない。単に、今まで打ち出してきた方針にケチをつけられていることに腹を立てているだけではないか、と。

なんかこの問題は金の話が前に出ているように感じるのだが、私が反対する理由としては、やはり自然を破壊することの懸念だったりする。「耶馬渓しのぐ吾妻峡」の吾妻渓谷にも影響を与えるし、その下流もダムの影響はあると思う。ダムを観光の目玉にするという構想もあるようだが、大都市圏に近いダム湖は観光客というか訪れる客はけっこう多いが、あの場所だと交通も不便なので、期待するような起爆剤にはならないかと思う。