反原発の動きに思うこと

反原発の動きがこれまでになく大きくなっている。

個人的には、原発自体はなくなる方向で進んでいくのが望ましいとは思うが、いきなりゼロにしろというのは難しいと思う。日本は今まで原発ありきで国を動かしてきたわけで、それをいきなりゼロにするというのは、それなりのスピードで走らせていた車を、急ブレーキをかけて止めるようなものだ。徐々に減速して停止するのが正しいと言えるだろう。ただ、人によっては急ブレーキをかけても今すぐ停止すべきなのか、という意見もあり、そこは見解が分かれるところである。

福島原発事故が日本で初めての原発事故ではなくて、東海村のJCO臨界事故や美浜原発事故も過去にあったのに、そのときに反原発が盛り上がらなかったのは、そのときは当事者意識が高まらなかったということなのだろうか。そのあたりの違和感は正直言って感じている。

あと、反原発の人は、味方にすべき人、なりそうな人に対してもわざわざ敵にしている節がある。批判することで何か溜飲を下げているような印象を受ける。基本的に原発をなくすことについては、普段は意見が異なる人たちが緩く連帯して取り組むべき問題だと思うのだが、現時点ではそういう様子は感じられない。反原発=左派、とは一概には言えないが、日本の政治において、左派陣営の組織が細かいことで対立し、袂を分かち、再結集しないままで弱体化していった歴史を繰り返すようだ。

そういうわけで、反原発の人は、何より目的を達成することを第一に考えてほしいと思っている。それは自分の意見を主張し押しつけることではない。本来は味方なのに敵としている人たちの意見を聞き、互いに納得できる解決策を考え、味方に引き入れることが必要なのではないだろうか。