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学生の頃、ビルマに関する本を何冊か読んだことがあって、その関連で田辺寿夫氏が記した「ビルマ―「発展」のなかの人びと」は読んでいた。それから10年ほど経って、最近になってビルマ情勢がまた関心を集めている。そういうわけで5年前に書かれた本ではあるが、本書を読んでみた。
日本とビルマの関係から、日本に住むビルマの人たちのこと、アウンサンスーチーのこと、ビルマの現状のことなどがよくまとまっている。特に第二次世界大戦での日本とビルマの関係の変遷についての記述は、私はほとんど知らなかっただけに興味深かった。著者の立場からかビルマを民主化しようとする側からの視点で語られているが、読んでさらに思ったのは、軍事政権が民主化に応じるというシナリオはありえないということ。そうすれば自身の存在が危うくなる。おそらくビルマの民主化が行われるためには多大な犠牲が伴われることだろう。アウンサンスーチーという人は立派な人で、そういう覚悟は持っているということを本書からは感じたが、それに多くの国民がついてこれるのかというのは課題のように感じた。どちらにせよ、ビルマ民主化にあたっては現状の軍事政権の解析をして、そこにどう切り込んでいくかというのが必要のように思う。
ビルマ軍事政権とアウンサンスーチー (角川oneテーマ21)
- 作者: 田辺寿夫,根本敬
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/05
- メディア: 新書
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