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昭和時代の軍人を、「名将」と「愚将」に分けて論じている。対談形式でわりと読みやすいという面はある。名将編は雑誌の掲載をまとめたもので、愚将編は語り下しとのこと。
結局、名将は自分の持ち場では功を上げたもののそれが全体の成果にならず、愚将の所行も相まって、あういう結果になってしまったわけだが、その結果へのキーパーソンとして、本書に直接は取り上げられていないものの、東條英機の名前が何度か出てくる。
あと、興味深かったのは、特攻や玉砕というのは本来日本の文化にはない考え方であって、それを進めていったのはそのときに日本人は変調をきたしていた、というような件。特攻や玉砕に限らず、本来日本の文化ではないものや、それほど伝統がないものを持ち出してきて、「日本人ならこれをすべきだ」とするケースはままある。自分たちが推し進めたい考えをナショナリズムを利用して広めるのは俯瞰的にみて望ましくないとは言えるが、当事者になると、その渦に呑み込まれてしまうことも否定できない。
先の戦争に関して多方向からの研究はされるべきだし、このような本が出ることはけっこうなことだと思う。記憶が生々しいという面はあるのだろうが、これについてはだいぶ月日が経ってきている。あとどうしても右とか左とか政治思想面云々が絡み出すというのもあって、そういう面も関係することは否定しないが、そのことが主となることについては不幸なことだ。
- 作者: 半藤一利
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2008/02/18
- メディア: 新書
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