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第22回参議院議員選挙の結果を政党別に考察してみる。
自由民主党
今回、改選第一党になった自民党。2人区は1つを確実に取るものの、3人区では千葉で取りこぼし(しかも民主に票数で負けている)、5人区でも現職1人の当選を優先して新人1人は惨敗、比例区にいたっては過去最低の獲得議席数。結局、1人区での優勢で勝ったようなものである。1人区では与党の批判票をまとめた。もっとも、かなり敵失に助けられた部分はある。何はともあれ、数を取ったのは確かであり、政権復帰への足がかりを築いたことは確かである。一刻も早い解散総選挙を、と言っているが、それ以前に衆院選の候補が空白になっているところが多数ある状態なので、一刻も早い次期衆院選の候補者の決定をしてほしいところである。また、2人区で2人立てた民主党にトップ当選を許していたり、比例区の獲得議席数が少なくて今後比例区候補のなり手がますますいなくなるのでは、という心配もある。
民主党
惨敗と言ってもいいでしょう。2人区は共倒れせず、5人区でも2人取ったので及第点と言えるが、1人区は惨敗。3人区も愛知以外は取りこぼす状況。大阪で2人は無理だがそれ以外は取れてもよかった。1人区も、栃木や徳島を落としているようではダメだろう。今まで民主党は参院選に強かったが、今回与党になって、どこか選挙に対して甘さが出てきたように思う。個人的には消費税に関する発言よりは、みんなの党への秋波発言のほうがまずかったと思う。発言が全てではないが、よかったとは言えない鳩山内閣の政権運営が、菅内閣になっていい方向に変わる兆しを潰したことは否めないと思う。さすがに首相は短期間で変わりすぎなので変える必要はないと思うが、党執行部は責任をとるべきではないだろうか。
みんなの党
躍進が予想されていたみんなの党。10議席獲得。渡辺代表はもっといくと思っていたかもしれないが、これは躍進と言っていい数字でしょう。選挙区で当選したのが、”イケメン”社長、元衆議院議員、市長選立候補経験者、と、それなりに強い候補が当選している。今まではわりと持ち上げられてきたが、目立ってくると逆風にさらされることになるだろう。そのときどのように対処できるかが課題になってくると思う。
公明党
選挙区では3人当選したが、比例区では6人にとどまった。前回の選挙とそれほど得票数は変わっていないのだが、自党が安定した力を誇っても、他党の影響で議席獲得数が上がったり下がったりするのが、強みでもあり、弱みでもあろう。
日本共産党
東京選挙区で議席獲得ならず。最終的にはみんなの党とかなり差がついたので、共産党が選挙区で議席をとれる力はない、と言ってしまっていいのではないかと思う。比例でも前回と同じ3議席。勝敗を度返しして、自分達の意見さえ言えればいい、というような態度はいただけない。
社会民主党
比例で2議席獲得。個人的には1議席に落ち込んだほうが危機感を感じられてよかったのではないかと思ったのだが。得票数は減っているし、次回は福島代表非改選なので1議席になるかもしれない。選挙区でも候補を擁立したが、推薦の沖縄以外は惨敗もいいところである。
たちあがれ日本
選挙期間中に比例名簿から候補者を削除したりしてどたばたしていたが、1議席は確保。これは予想通りだった。結果現状維持。ただ、この政党はどういう方向に行くのかよくわからない。このまま政治寿命が尽きるまで小政党で行くのだろうか。
新党改革
1議席獲得。これは私としては意外だった。そして、比例区で2%の得票率を獲ったので政党要件も維持。政党交付金がもらえる。ただ、改革クラブのときは政党交付金をもらってなるべくコストをかけないで政党を運営していったものの、舛添さんの新党改革となると、それなりに活動をして、それなりにコストもかけなければならない。党運営をどうするか、政界再編を仕掛けてくるのか、あたりに注目。
国民新党
去年の衆院選の結果からこの参院選で議席を獲るのは難しいと思っていたが、案の定議席0に終わった。普天間基地移設問題の混乱は国民新党の責任も大きいし、相応の結果だったのではないか。それにしても、候補者にやばい団体と関わりがあると言われている人が複数人いる、というのもすごい話。与党なのに。
日本創新党
「首長新党」と言われて地方主権をすすめる政党と思っていたら、いつの間にか保守色が濃くなっていた、という。地方主権ではわかりやすく票を取ることはできないと判断したのか。保守を標榜するとわかりやすい手応えは得られるのだろうが、その数はたいしたことはない、という。たちあがれ日本と統一会派とか、合併とかいう話もあったが、それならば選挙前にくっついてしまったほうがよかったのではないか。東京選挙区の候補者差し替えの時点から軽くごたごたしていたが、惨敗を受けて再度挑戦をするのか、もうやめるのか、注目。
女性党
この情報化時代に、党の実態がほとんど知られていないというクローズぶりで、40万票の票を獲得するというのは、不気味な感すらある。
幸福実現党
選挙区ではほとんどで最下位。比例区でも20万票台。幸福の科学の信者はそんなものなのか、と思わざるを得ない得票数である。一応、国会議員も一人いる党でこの少なさは異例。選挙活動自体はかなり金をかけていると思うのだが、いつまで続けるのだろうか。
無所属・諸派
今回、無所属・諸派の当選者が0だった。実は、これは参院選では初めてのことである。(参院選は多党推薦で無所属で立候補して当選するケースがわりと多い。)民主党が自党公認候補にこだわった結果とも言えそうである。それが惨敗の原因の一つであるとも言えそうだ。
あと、知名度も組織もないような無所属の候補が、5桁の得票数を獲得しているケースが目立った。それに負けているのが幸福実現党だったりする。何か、そういう候補に共感を覚える人が少なからずいるということか。